芸術・アートとは今まで見たことのないもの、きいたこともないことを想像・構想する力のことです。人々はそんな力をたよりにして、超越的な存在に祈り、亡くなった者を弔い、世界を再生させてきました。

　今、私たちに必要なのは、芸術のこのような力を思い出すことだと思われます。芸術を「慰め」や「気晴らし」といった檻から解き放ち、想像力・構想力として捉え直すこと。それを新しい知のあり方と結びつけ、世界が今ある姿だけではないと思い直すこと。大阪大学中之島芸術センターの使命は、まさにこのようなところにあります。

中之島芸術センターは、大学院生・学部生及び社会人が芸術の実践に参画し、そのプロセスをともに体験することを指す「共創芸術」の場を目指しています。文化・芸術の集積地である中之島という立地を生かし、大学における高度教養教育及び社会人教育のプラットフォームとしていきたいと考えます。また、アートと自然科学・社会科学の融合により新領域を開拓し、芸術を核とする高度教養教育にもフィードバックしていきます。

大阪大学中之島芸術センターは、地球規模で複雑化・高度化する社会課題に対応する社会からの要請に応えるために、教育・研究を通じて、知と芸術と世界のあり方を更新してゆくことを目指します。

中之島芸術センター長　伊東信宏