大阪大学中之島芸術センター開館記念企画
中村恭子日本画作品展「風景の肉体」
 
2023年9月6日(水)〜9月30日(土)
10:30〜17:00 ※月・祝閉場
入場料:無料
 
日本の古画に見られる書き割りのような図形平面の山並み風景は、
向こう側への視界を遮る知覚可能な限界として「バウンダリー」でありながら、
向こう側としてさえ概念化できない外部を召喚する「フロンティア」でもある。
明確に知覚される物質的な体に、外部という抽象性を召喚するとき、
人にも「書き割りの風景としての肉体」が備わるのではないか。
そのような創造様式を捉えた中村の制作の実践を示します。
 


 
 大阪大学中之島センター改修により、2023年、センター3階、4階に大阪大学中之島芸術センターが誕生しました。中之島芸術センター開館を記念して、4月から当センターの教員として着任した中村恭子の作品展を開催いたします。
 中村恭子は東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻日本画研究領域博士課程を修了し、博士号を取得。日本画制作の実践と執筆活動により、創造性にまつわる問題について研究を続けています。
著書『TANKURIー創造性を撃つ』(共著、2018年)では、「書き割り」と称し得る日本の古画に見られる空間表現を示し、そこに創造のヒントを探求してきました。
 本展では、センター4階展示室にて「書き割りの風景」から「書き割りの肉体」へと続いてきた中村の最近の研究成果を中心に示し、また、それが転回して「風景の肉体」として結実し始めた最新のプログレスまでをご覧いただきます。また、センター5階いのち共感ひろばでは、社会ソリューションイニシアティブ(SSI)との共同主催で、中村による14mの大作《皿鉢絵巻》(2015-16) を大画面にパノラマ投影した迫力ある映像を体験できます。

 
令和5年 中之島芸術センター
書き割りは、
反擬人化風景としての肉体

ギャラリー

展示会場1(4F)では日本画作品を展示しています。
展示会場2(5F)では皿鉢絵巻のパノラマ映像を展示しています。

作家略歴

中村恭子(なかむらきょうこ)
日本画家。
長野県下諏訪町生まれ。
2005. 東京藝術大学日本画専攻卒業
2010. 同大学院博士課程日本画研究領域修了、博士(美術)取得。
2013. 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所特任研究員(2018.9まで)
2020. 新潟大学特任助教(2021.5まで)
2020. 九州大学芸術工学部助教(2023.3まで)
現在、大阪大学中之島芸術センター准教授、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー、早稲田大学総合研究所招聘研究員。
著書に『TANKURI―創造性を撃つ―』(共著、水声社、2018.)など。
「書き割り」にまつわる論文はこちら
展覧会に、諏訪市美術館令和4年度特集展示 中村恭子日本画作品展「脱創造する御柱」(諏訪市美術館、2022)、中村恭子・郡司ペギオ幸夫展「フーリエの日々」(Art Space Kimura ASK?、2023)など多数。
 
作家ウェブサイト:KYOKONAKAMURA.JP


イベント情報

 展覧会記念公開シンポジウム「創造の装置」

 
[概 要]
フロンティア・バウンダリーは、
郡司が『やってくる』(医学書院、2020)で示した概念構造である。
フロンティアという抽象とバウンダリーという具象を
接続しようとする努力の果てにある諦めが、
創造を生み出すということの意味を、分野を超えて議論する。
 
[登壇者]
中村恭子(大阪大・日本画)
郡司ペギオ幸夫(早稲田大・天然知能研究)
伊東信宏(大阪大・音楽学)
 
[期 日] 2023年9月9日(土)14:30~16:00
[参加料] 無料・事前予約不要
[会 場] 中之島センター3階スタジオ